ブータンと日本でていねいに手づくりする工房ブルーパイン

カリキュラム


 ブータンのゾーリッグ・チュスム工芸学校(Institute for Zorig Chusum, Thimphu)刺繍科のカリキュラムにそった内容ですが、日本の方たちにわかりやすいように、すこし改良してあります。
 カリキュラムにそって作品を作っていくと、少しずつ技法が増えていきます。これまでの作品のポイントを押さえながら、少しずつ難しい作品へと進みます。
 講義形式ではなく、それぞれ自分の作品を刺しているので、先に進んでいるほかの方の作品や講師の見本を見ながら、今後刺していく課題をイメージしていくことができます。



1 運針練習

 入会時に、ブータン刺繍スタート用キット(運針練習用布1枚、ペマ・メトⅠ用布1枚、刺繍糸15色、針1本。2,500円)をご購入いただきます。
 運針練習で、アウトラインステッチ、サテンステッチ、コーチングステッチの3種類のステッチを練習します。それから、葉や花の基本形を刺す練習をします。

 ここでのポイントは、ブタン刺繍の布と針の持ち方になれることです。
 ブータン刺繍では、フレームを使いません。利き手で針を持ち、反対の手で刺す部分の布をピンと張って、糸を引いたときに布がひきつらないように調節します。ほとんどの方は、こんな針の持ち方をしたことはないと思います。はじめは難しく感じるかもしれませんが、一度慣れてしまえば針目の方向を確認しやすく、とても合理的です。


2 ペマ・メトⅠ



 ブータン刺繍スタート用キットに含まれている布で刺していただく、最初の作品です。

 ペマ・メトはブータンの言葉で「蓮の花」です。

 針と布の持ち方に慣れること、ステッチの角度をコントロールすること、グラデーションの配分に気をつけること、などが課題です。
 まずは、あまり難しく考えず、色を重ねながらひとつの作品を仕上げる楽しさを感じてください。色を重ねていく効果は、一度仕上げてみないと理解しにくいものです。まずは、作品を完成させることを目標に楽しんでください。


3 ペマ・メトⅡ



 ペマ・メトⅠと同じ図案です。ペマ・メトⅠのポイントを確認しながら、さらに「糸をよる」ことを覚えましょう。

 刺す場所によって、糸をよりあわせて太い糸を作って刺します。
 糸が太くなると針目がはっきり見え、ステッチの方向をコントロールしながら刺すのが難しくなります。

 つぼみ(上部左右の黄色い部分)には、二種類のデザインがあるのですが、ペマ・メトⅡで刺すタイプのほうがグラデーションの配分が少し難しくなります。

 一度刺した図案ですので、図案そのものはある程度とらえられるようになっています。グラデーションやステッチの方向など、仕上がりをイメージしながら進めましょう。

 なお、この作品からは、新たに布を用意していただきます。教室にも在庫がありますので、サンプルをご覧になってご希望のものがありましたらご購入ください。お手持ちの布に刺したい場合は、お持ちください。ブータン刺繍に向く布と難しいものがあります。布選びもご相談ください。
4 タシタゲ



 日本語では「八吉祥紋」、英語では「eight lucky sign」と訳されます。
 すべて仏教のデザインで、守ってくれるもの・幸運をもたらしてくれるものとしてブータンでも好まれており、あちこちでみかけるデザインです。先に刺したペマ・メトも、タシタゲのひとつに入っています。

 直径が6cmくらいのサイズのものを8つセットで刺していただきます。
 技法がペマ・メトよりもさらに増え、ひとつひとつは小さくても、ぐっと手間も時間もかかります。それだけに仕上がった時の満足感も大きくなる、初めての大作です。
5 ジャ・ツェリン



 ジャ・ツェリンは、「長寿の鳥」という意味です。
 のびやかに羽をひろげ、ひらひらとしっぽをなびかせている、おおらかな姿の鳥です。

 しっぽのひらひらとしたカーブは、ステッチの角度のコントロールがポイントです。グラデーションを重ねながらの角度の調節は難しいものですが、カーブごとにかわる傾きに注意しながら刺してください。
 ボディのグラデーションもきれいに仕上げましょう。
6 テンパ・ピンジ



 日本語では「四朋獣図」と言います。

 輪郭線の中を塗りつぶす練習です。
 象のボディなど、こんなに大きな面積を埋める作業は初めてですが、今後よく出てくるようになります。やってみると、グラデーションよりもずっと簡単です。長いコーチングステッチを直線で刺すように心がけましょう。
 木の葉の部分は、輪郭をとる作業も、色を埋めていく作業もこまごまとしていて、根気がいります。タシタゲ同様に、メインの図案よりもまわりの部分が大変ですが、刺繍が「布に糸で描く絵」であることを実感しながら楽しみましょう。
7 テンパ



 釈迦如来です。

 ここからは、いよいよ仏像の刺繍です。
 菩薩よりも衣が単純な如来から始めます。

 最初の輪郭をとる段階が、とても重要です。特に、肌の部分の輪郭線で作品の仕上がりが決まります。図案をよく見て、描きたいラインをしっかりイメージしながら刺しましょう。
8 ホワイト・タラ



 白多羅菩薩です。
 観音菩薩の奥様と言われる、女性の菩薩です。

 如来よりも、装身具が華やかで、複雑になります。
 衣の輪郭線をとっている間は難しく感じるかもしれませんが、色がはいったら、華やかで美しい作品になります。仕上がりの絵をしっかりイメージしながら進めましょう。

 光背や雲はテンパと共通ですが、台座は違うデザインです。この台座は最初に白のサテンステッチで始めるので、最後に白い輪郭をとりません。最初のサテンステッチで形をしっかりとる必要があります。すこし緊張するかもしれませんが、しっかり形を確認しましょう。
9 グル・リンポチェ



  ブータンやチベットでは一番人気と言っても過言ではない、グル・リンポチェ。蓮の花の中から生まれた、超能力を駆使してミラクル連発!のスーパーヒーローです。

 ブータンにも、グルの逸話が残る地が多くあります。
 グルが瞑想した洞窟、地面に突き刺した杖に根がはえてそのまま育ったヒノキの大木、魑魅魍魎を退治して閉じ込めた井戸・・・。グルは、今もブータンの人たちにとってとても身近な存在です。グルに祈ればきっと守ってくださる、と深く進攻されています。

 神仏を刺すようになって3作目。如来、菩薩と、だんだん服装やアクセサリーが多く複雑になってきますが、グルの複雑さは格段に増します。
 でも、これまでに仏画を刺す手順にはだいぶ慣れてきています。図案の全体の形をとらえ、細部をよく見て、しっかりイメージを作って丁寧に刺せば、きっと美しく完成します。













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